レミングと選手の向かう先は・・・

 

レミング集団自殺」を知っているだろうか。

レミングは日本名で旅鼠と言うらしい。

そのレミングは、極端に個体数が増えた時に

集団移動をし、あげくの果ては川や海へ向かい

集団自殺をすると言われている。

集団は種の保存の為に、本能的にそういう行動をとると

いう説が有るが、ある研究者によると、これは誤解であり、

単に集団移住の間に起こる事故であり、本能に埋め込まれた

物ではないと言うのが、現在の定説のようだ。

 

今日も朝練へ向かう、大人の約束は5分前にと、早い目に

約束の場所に到着すると、既に朝の早くから6名の変態さんが!

朝練のフルメンバーが集まった。

もう確認しなかったが、イシトモさんは3時台には起きているはずだ。

 

1名の正常な私と、6名の異常者の集団が朝の山を駆け上がる。

今季最速のスピード進む集団に私は、8分程度のところで千切れる。

頂上でのタイムは21分フラットと、コースレコードが刻まれた。

 

裏銭、裏高ともに、今日の練習のテーマ「地獄の淵を見る」を心に

渾身の踏みで駆け上がる。

すると、ゴール後1分間は最近味わった事の無い苦痛と、気分の悪さが

身体中を駆け巡った。

これだ。これ。これを味あわなければ、もうルーチン化した練習では

レベルアップは望めない。

今後もこれは続けて行こうと心に決めた。

 

私同様に、それぞれの「地獄の淵」を見た選手たちは見事に昇天し

三々五々、自宅へと帰って行った。

 

新聞配達と前後して家を出て、好んで「地獄の淵」を見に集まる選手たち。

レミングと同じではないかと言う心象を持ったのだが、それでは早朝から

自己研鑽に挑む、高い志をもつ選手にあまりにも失礼だろうか。

 

私に限って言えば、朝練へ向かうのも、地獄の淵を見るのも

勝ちたいと言う、本能的な欲求を具現化する為の行為。

外からレミングを語っているが、実は自分もレミングなのかもしれない。

 

そんな、ばかげた妄想をしている間も時は流れる。

シーズン前期の重要レースである3Days熊野が週末にある。

「地獄の淵は」今日までだ、試合まではもう見ない。

後は、体調を整えるだけ。