練習を沢山し、食事も工夫して試合に向けて、ピーキングをする。
肉体と精神が張り詰めて、”ああ今非常にいい状態にあるな”と
思える時が有る。
実際走っても、調子よく走れるのだが、この状態は要注意だ。
運動と言う刺激を与え続けなければ、競技者は普通の人へ戻る。
『自転車乗り、三日乗らねば、ただの人』って言い伝え?がある。
三日は大げさだが、練習を止めるとあっという間に競技力が落ちる事は
最近レースを始めた競技者でも知っている。
運動生理学上の根拠は全くないのだが、肉体を自分の能力の
限界まで高めた時、その状態は人間にとって不自然な状態であり、
マイナス方向の恒常性の維持(ホメオスタシス)が働くのではないか。
それも、その人の通常時の体力とのかい離が大きければ、大きいほど
戻ろうとする力は強い。
だから、調子のいい時は要注意なのだ。
イメージで言えば、ゴムみたいなものだ。
50㎝ぐらいのゴムをイメージしてほしい。
このゴムの限界伸長は200㎝とすると、80㎝や100㎝まで
伸ばしても、全く無理はなく戻ろうとする力も大きくない。
ところが、150㎝に至ると伸ばすにもかなりの力が必要だし、
維持しているのも結構しんどい。
さて、200㎝まで伸ばすとどうだろう。
引っ張る力はとてつもなく大きく、長時間は維持できない。
ゴムの千切れる恐れもある(病気、故障)。
そして、維持することに疲れたらどうだろう・・・
誰でも知っている、一気に元の長さまで引き戻される。
つまり、肉体にとって不自然な状態であればあるほど、
その戻る力、ホメオスタシスは強く働き、その力に耐えるには
相応の肉体的刺激=練習が必要になる。
それも継続的な。
でも、肉体と言うゴムはいつも50㎝で不変ではない。
継続的に伸ばし続けると、ゴムは伸びて60㎝が通常の状態になり
それは80㎝にも100㎝にも伸びる可能性がある。
長い時間をかければ、ゴムも伸びるのだ。
実業団石川が終わり、少しレースの間が開く。
石川に向けピークを作ったので、試合後にゴムの端をパッと
離したのが今の私の状態だ。
精神的にも肉体的にも、一息を入れる。
ゴムが短くなり切らないうちに、また伸ばしの作業に入る。
私のゴムはもう少し伸びてくれるだろうか。