長距離練習は常習性が有る。

ちょいと気になる記事が有った。

LSD完全否定」世界チャンピオン、ホセ・ヘルミダのトレーニング理論

| THE BIKE JOURNAL | バイクジャーナル

http://bikejournal.jp/main/?p=7475

LSD・・・って?はぁ?みたいな対応。

最初に断わっておくが、距離を乗る練習については、自分の中で完全な結論は無い。

だけど、すこし考察してみたい。

 

始めたばかりの競技者にはゆっくり長く乗ることにより、ペダリングスキルの向上、

効率の良い乗車姿勢の獲得、脂肪の燃焼、毛細血管の発達、乗車技術の獲得等

多くのメリットが有ると思う。

なので、初心者から中級者までは段々距離を伸ばしていき、いわゆる長距離を

何も考えずに走ると言う事は、良いことだと思う。

ここからは中級者以上の競技者で今後も上を目指す人が対象の話(※対象:国内E1レベルまで)。

 

長距離のデメリットはヘミダルが指摘している通り、疲労が蓄積すること。

Pのカテゴリーは別として、Eの各カテゴリーを対象にトレーニングを考えた時に

100キロを超えるトレーニングは有効だろうか?

100キロは走らないと練習効果が無い?では150キロはもっと効果が有る?

回復力は人それぞれで、疲労のマイナス面があまりない人もいるだろうが、

それでも疲れは残るはず。

その疲れが、高い強度の練習の妨げになる。

高強度の練習は出来るだけフレッシュな状態で挑みたいのだ。

 

E1のレースは全日本実業団ロードであっても100キロ以下。

50キロ、40キロのレースも多い。

そこで必要とされるトレーニングは150キロのレースで必要なものとは、

全てではないが、違いが有ると思う。

 

長距離の練習を否定している訳ではない。それはそれなりのメリットが有るが、

疲れが残ると言うデメリットが有ると言う事をキチンと認識し、対象レースに勝つためには

何をするべきなのかを自分自身で判断しなければならない。

 

例えば、私自身を対象としてトレーニングを考えるときに、いわゆるロングはあまり意味が無いと思う。

50歳近くになる私には疲労が残るし、高強度の練習の妨げになる。

週3回の朝練と週末に80キロから130キロ位までで良いと言うのが結論。

ただし、これは今日現在の事。過去や未来において正解とは言えない。

狙うレース、レベル、年齢等によって変わるし、もちろん誰にでも当てはまる訳ではない。

 

距離を乗る練習は向上心の高い競技者、とりわけ自分自身を追いこむことが好きな競技者の

心を捉えて離さない。

     ---長距離練習は競技者の精神安定剤になりうる---

”これだけやったら強くなるだろう” ”あいつがが150キロなら俺は200キロだ”と。

実際、自身もそうやって若き日を過ごした。強くなりたい気持ちで、イライラし、それをペダルにぶつけた。

レベルが上がるごとに距離を伸ばして行き、やがて最盛期は5000㎞/月にまで達した。

 

距離を走れば疲れ果てるが、反対に気持ちは落ち着いた。

それ程に距離の練習は吸引力が有り、習慣性が有る。

実際、距離の練習は効果が有るし、裏切らない側面を持っている。

それが、この話の核心を見えなくする。

 

当時はレースの距離が130キロとかが普通だったので、それなりに距離の練習も必要だったが、

しかし、意外な事に競技力向上に一番寄与したのは、練習時間がなく、仕方なく5時30分から走った朝練。

今振り返って考えれば、週末の長距離は朝練を補完する練習。

つまり、朝練中心が私にとっての正解。

主と従が通常の概念とは反対。

今だから解る事だけど。

 

最後にもう一度書いておく。

距離を乗る練習を否定しているわけではない。

だが、そのメリット、デメリットを十分認識する必要が有る。

自分に今必要なものは何か、感じ考える。

レースに出る以上は究極の目標は優勝。

その為にトレーニングをする。

 

対象レースに対応した練習をしなければならない。

勝負所で千切れて、後は粘りの走りもいいけれど、

勝負所で千切れては勝てない。

勿論、高強度短距離に偏っては、周回を重ねて脚を削られ

どうでもない所で千切れてしまう。

いわゆる、地脚が無い状態。

どちらにしても勝てない。

 

競技者は勝つための練習をしなければならない。

その為には・・・

 

感じ、考え、実行する。

その結果が、長距離なら何も言うことはない。