脚で稼ぐとは?

 

バブルが弾けた頃に選手を辞めて入社した会社では

営業職に就いていた。

まず電話の受け答えから、戸惑っていたが、

少しづつ、慣れて行き、会社のシステムが解ってくると

徐々に営業成績が上がるようになっていった。

 

システムは会社によって色々だと思うが、営業職は

営業成績によって、給料に歩合が付くか、ボーナスに反映

されるのが普通だと思う。

私のいた会社は、給料、ボーナス共に営業成績がかなり

反映されるので、出来る者と、出来ない者の年収の差は

相当の開きがあった。

 

当初、自分に出来るのかと、不安に怯えた営業職だが、

成績が上がるようになると、少し楽しさが出てきた。

提案の仕方、話し方、資料の準備等、色々な事を営業戦術と捉えて

実験、改善を繰り返していく。

ポイントを掴めば、それを強化する。

自己改善する点なんて、その気で探せばいくらでもある。

そこに着目するか、しないか。

やるか、やらないかだけ。

 

数字が上がれば給料も上がる。

選手時代は仕事として走らせてもらっていたので、給料もずっと少なかったので、

仕事をして成果が上がれば、稼げるんだと、当たり前のことに感心した。

お金と言うより、自分の実力が顧客から、会社から評価され、その対価としての

お金を頂くのが心地よかった。

 

昨日、本年度の実業団初戦、舞洲クリテリュウムが行われた。

2年ほどレースを休んでいたので、振出しに戻ってE3からの参戦。

途中の流れが有り、一人逃げを許してしまったが、

集団のスプリントは何とか制して2位となった。

 

沢山のチームメイトに祝福される華々しい表彰式の後、

賞品(賞金)を頂戴する。

決して高額ではない。

試合のエントリー代の足しになる程度だが、

金額の大小ではなく、”脚で稼いだ”感覚が心地よい。

 

暗い冬の朝練、涎を流し練習を積み重ねる。

機材を考慮し、前日からレースの準備をする。

落車の危機を潜り抜け、幾多の選択肢の中からベストと

思える選択を繰り返し、ゴールへ辿り着く。

それが評価される。

 

仕事でも自転車でも同じ。

やったからと言って必ずしも成功するとは限らないが、

やらない人が得られることは間違ってもない。

積み重ねる。

それしかない。

 

伊吹山は山岳職人を中心とした選手に任せて

私は次の戦いの準備に入る。

今回の入賞でE2に昇格なので、ハードルは上がるが、

やるしかない。

 

あの感覚・・・

”脚で稼ぐ”をもう一度味わうために。