堺クリテリュウム

 

土曜日に家を出て数百メートル走った場所で気づく脚の異変。

異変と言っても良い方の感覚。

同じ場所を同じスピードで走った時の、心拍の上りと脚の感覚が

普段と違い、とても楽に感じた。

 

明日は堺クリテリュウムなので軽く心拍を上げにチームの朝練へ。

第1ステージは勾配もきつく、脚に負担が大きいので、戦いを避けて

先行する。

第2ステージは全開で行く。

これは前日から考えていた試合前の最終調整。

しっかりスピードの上がったところから、ラスト数百メートルをもがく。

今乗りに乗ってるミッチーが番手で差し込んでくるが何とかか逃げ切り、

先着する事が出来た。

後は全て流して高山まで。

 

この走りで明日の試合は行けると言う実感を持ったが、白浜や群馬の

スプリントで失敗してから、自分に自信が持てず、声に出して

『明日は行けそう』とは怖くて言えなかった。

言えばその言葉の呪縛に負けそうな気がした。

 

いのきんさんの車で現地入り。

沢山のチーム員と沢山の応援団にテンションが上がる。

お店からもスタッフや店長まで来てテントまで設営して頂いた。

私達は周りの方々に支えられて、走ることが出来る事を再認識した。

恩返しは、熱い走りをする事。

そして、勝てれば最高だ。

 

レースの印象は自分のレベルによって全く違ったものになる。

調子の悪かった白浜は、引きずられるだけのレースで辛く

苦しいレースだった。

今回の堺はまるで反対の印象を持った。

 

今回は、最終周回以外は終始余裕があり、スタートは後ろの方だったけど

第1コーナーまでに2番手に上がり、後は最後まで7番手以降には下がらなかった。

自分の余裕は認識できても、他の人が余裕が有るのか無いのかまでは解らない。

中盤以降、どんどん苦しくなるのかと思っていたが、レース途中にいつもならある、

お決まりの後ろから上がってきて被せられる行為が今回は全くと言っていいほどなく

ポジションのキープもそれほど苦労はしなかった。

それだけに、最終周回に激しい攻撃が待っているんだろうなと、身構えた。

 

最終周回は若干スピードが上がるが、全開と言うほどでもないので、

位置取りもスムーズにこなせた。

裏のS字と最終コーナーで落車があった。

特にS字の落車は振り返ることが出来ないのでどんな状態かはわからないが

相当の落車であることは、断末魔の叫びと擦過音や打撃音で分かった。

 

明日は我が身ではあるが、同情している暇もなく2番手で最終コーナーへ。

ここで滑って自爆しては全てが台無しなので、やや慎重にクリア。

最終の直線、先行は21歳の若者。

番手に付きながら、後ろを振り返ると既に少し離れている。

前で若者が一生懸命もがいているので、少し様子見をする。

ここまで来て、しょうもないミスは出来ない。

 

後続の距離、ゴールまでの距離、自分の脚を総合的に考える。

ここだと言うところで、全開でもがく。

抜くときのスピード感と残り距離から勝てたことがわかる。

念のために、後ろを振り返り、確実に勝てたことを確認してウイニングポーズ。

胸のチーム名を指さし、そして万歳。←動画

グリコポーズだ。

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国際クリテのおこぼれではあるが、多くの観客に見て頂ける

公道レースでの勝利は格別だ。

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この瞬間を味わうために、冬の真っ暗な氷点下の中、朝練を積んできた。

どんなレースも入賞することは難しく、ましてや優勝はそうできるものではない。

素直にうれしかった。

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個人的な喜びは勿論、一緒に走ったチーム員に走りを見せれたこと、

応援に来て頂いた人々に、喜んで頂けたことは、うれしかった。

 

今年のシーズンイン前に皆の前で今年度の個人目標を発表した。

新規登録でE3でスタートするが、熊野のレースはE1で走ると。

2階級上がらなければならないので、なかなか難しいとは思ったが、

目標は高くないと意味がないので、思い切って掲げてみた。

 

結果的に2週間前のレースで帳尻を合わせ、熊野はE1で走る。

E1はプロ予備軍も存在するカテゴリーだ。

流石に簡単には勝たせてくれないだろうが、挑戦者に失うものは無い

全力で戦うだけだ。

 

苦しい練習は続くが、しばらくは”あの瞬間”を思い出せば力も湧くだろう。

昨日は過去だ、過去に浸っている暇はない。

明日も朝練だ、気分を切り替え前に進む。