求める答えはどこにあるのか

 

こんな話を聞いたことは無いだろうか・・・

「仏師は、木に仏を彫るのではなく、木の中に埋まっている仏様を顕わす」

つまり仏像は”木を彫る”のではなく仏様を”掘り出す”ということらしい。

人間ごときが仏様を創るのではなく、実体はもとよりそこにあると言う事か。

使い古された表現のようだが、示唆深いではないか。

 

朝練は今日まで、明日は全面休養を取る。

土曜日は移動と試走のみ。

日曜日は試合。

そんなスケジュールだ。

 

総時間2時間の朝練だが、メンバーが濃厚で真剣に

走れば結構脚に来て、次の日まで疲れを持ち越す。

週中に休みばかり入れてられないし練習でもあるので、

疲れは無視して連日朝練に励むわけだが、やはり1日目より

二日目の方が、二日目より三日目の方がタイムが悪くなる。

 

しかし、新城選手を含むツールを走っているクラスの

選手は別格だな。

毎日あの距離と、あのコースを消化していく体力と

胃腸の強さ。

胃腸が強くないと、エネルギー補給=回復もままならない。

レースを走って、お腹の調子が悪くなっているような

私みたいなタイプではステージレースは走れない。

毎朝、昨日の疲れはほとんど回復して、元気に朝を迎えねば

ならない。

 

回復力は人によって違って、体質的に回復力が強い人がいる。

こういうタイプの人はほんとにうらやましい。

何故かと言うと、高強度練習の日程がとりやすい。

例えば、土日や連休だが、回復力が強いと貴重な連続の

休みを連日しっかり乗り込める。

このアドバンテージは積み重なると大きい。

 

また疲労回復力が強くて睡眠時間が短い人がいる。

まず思いつくのがサンツアーのH田先輩。

この先輩はすごく睡眠時間が短い。

合宿などで一緒すると失礼ながらほんとに迷惑だ(笑)

夜はテンション高く、周りを盛り上げてなかなか寝て頂けない。

まわりも楽しいからつい付き合って起きてしまう。

次の日H田先輩は一番に起きる。

そして、テンションも高く、疲労もぬけている。

 

一方こちらは、しっかり前日の疲れを引きずり

朝から中古脚(サラ脚の反対)だ(笑)

それが蓄積していき、ボロボロになっていく者と

毎日リセットできる者との違いは果てしなく大きい。

 

今の年齢の回復力、自分の体質では週中の朝練3回と

週末のセミロング位で限界だ。

その状況、この体でどう戦うか。

 

誰もが完璧な回復力、驚異の体力を持っている訳ではない。

たとえプロであっても、何らかの弱点を抱え、その弱点が最小に

なるように組み立て、戦っている例がほとんどだ。

 

自分を知らなくてはいけない。

それは長所であり、短所もだ。

長距離の練習や高負荷の練習、スプリント練習、インターバル。

色々な練習が有るが、その人にとって有効な練習はそれぞれ違う。

練習は消化して吸収してこそ身に付く。

休養の取り方・・・回復方法も同じで千差万別だ。

万人に有効な練習や回復方法は無い。

 

走りのタイプが違い、筋組成が違い、回復力が違うから。

ただ、漫然と決められた練習をするのではなく、

常にやっている事と、その結果に思いを至らせながら、

練習をする事が大事だと思う。

だから残念ながら、選手が求める答えはここにはない。

 

答えは、自分自身の中にある。

自分自身で掘り出さなくてはならない。