自転車との出会い エピローグ

約束の期限は2年だった。

選手の言葉でいえば2シーズン。

2シーズンしっかりやり切り、約束通り引退した。

人には未知の可能性が有る、さらに続ければ新たな世界が有ったのか?

 

Kuwaharaからスイスへ行ったこと。

スイスから撤退したこと。

サンツアーで更に2年走る事に決めたこと。

26歳で引退したこと。

 

全て自分で考え自分で決めた事。

自分で環境を手に入れ、思い切りやり、何ら後悔は無い。

 

今となれば26歳で引退はいかにも早いと思うかもしれないが、あの当時は全く普通だった。

もちろん30歳を過ぎで走っている大先輩もいたが、少数だったな。

自分自身は自転車も好きだが、当時は自転車を競技として捉えていたので、

常にモチベーションは自分の成績だった。

選手人生の後半、練習すれど根本的な実力が数年変わらない状況は若く、上昇志向の強い

自分には耐え難く、同じような着順は次第に自分からモチベーションを奪っていった。

モチベーションの薄い選手がやれる世界ではない。

そして引退。

 

同じ成績ならあと10年はやれたと思うが、自転車を競技として見た場合、

ただ続けることに意義は見いだせない。

少なくとも自分の人生観においては。

異論はあると思う。有って当然だけど、引退は自分の問題。

自転車を始めた高2の6月から、26歳の引退までずっと、いつも

自転車競技の事を考えて生きてきた。

そのことに一片の悔いなし。

自転車競技も生活も仕事も遊びも全て自分の人生の中で起こる事。

人に迷惑さえかけなければ、自分が良ければそれでいいと思う。

 

若き挑戦者、そして若くない挑戦者もやる以上は後悔の無いようにやってほしい。

20歳以下でない限り、肉体的条件は今が最高であるはず。

来年より今年の方が若くて条件がいい。

強くなるのに3年はいらない。

本気でやれば2年で強くなる。

 

斜めに構えていたら面白くはならない。

いい大人が真剣にやるから面白い。

本気でやろう。

 

趣味の競技に引退は無いかもしれないけど、競技から離れるときに、『やり切った』

『後悔無し』と言い切れれば、それはその人の人生において最高の宝物になると思う。

それが私の伝えたいこと。

 

まずは明日の朝練から始めませんか。