落車と選手の伸びる時期

付き物って言葉が、適切でないことは解ってる。

容認してはいけない。

でも現実は無くならない。

犯罪みたいなものか。

 

26歳の引退までは、集団落車に巻き込まれることは有っても、

選手生命を脅かすような、怪我を伴う落車は無かった。

集中力が有ったのか、運が良かったのか。

 

2009年から再び選手として走り始めたわけだが、そこからが酷い。

レースでこけたり、練習で怪我したり。

骨は折れるわ、フレームが割れるわで困った。

 

安全走行の基本はスピードを出さない事、車間距離を取る事。

どちらも自転車競技の対極にある動き。

スピードを出さないとレースにも練習にもならないし、車間距離を取ると風がつらい。

自転車競技における走行形態そのものが、安全走行の基本とは相当かけ離れた

状況にある。

まずそれを認識しなければならない。

 

その上で、集団に属する全員で、安全で快適に走行できるような工夫をしなければいけない。

後続は前がとても見辛い状況にある。

先頭は後続の目の役目をしていることを十分認識し、道路上の異常、異変を後続に伝える。

手信号、声だし。

声出しは状況によってトーンを変える。

仲間に伝えたいのか、相手車両に伝えたいのか。

緊急性が有るのかないのか。

 

レースでも練習でも、落車ゼロを目指す気持ちを全員が持てば、かなりの落車が無くなると思う。

自転車の落車は一つ間違えば、命に係わる事故になる。

みんなの意識でゼロを目指したい。

 

強くなるためにも事故は避けなければならない、治療に裂いている時間は無い。

経験的に・・・選手の強くなる旬の期間は相当短いと思う。

旬の時期に長期の療養は痛い。

私のアドバイスで『強くなるのに長い期間はいらない』というのを聞いたことが有ると思う。

言葉通りで、強くなる時期に適切な練習をすれば、あっという間に選手は強くなる。

ベースが有れば1年。ベースが無くても2年もあれば強くなれる。

でも、この言葉には逆の意味もある。

 

”タイミングを逃し、旬の時期に強くなれなかった場合、後で強くなるのは難しい”

 

こう言い切ってしまうのは語弊が有るのは解っている。

だから ”・・・難しい”と書いた。

歳を取ってから始めても強くなる人はいるし、何度ものトラブルから、立ち上がり

チャンピオンになる選手もいる。

解っている。が・・・

長く続けるうちに情熱は薄れるし、練習はマンネリ化し歳を取る。

加速度的に状況は悪くなる。

文字通り難しくなる。

 

ただし、これはプロクラスを目指す人の話し。

一般の競技者は、いつも『強くなるのに長い期間はいらない』を胸に

充実したトレーニングを積んで欲しい。

もちろん、落車には注意して。

 

漠然と、いつか強くなるではなく。

来シーズン、一気に強くなるイメージで冬を過ごす。

強くなるのはいつ?

『今でしょう!』